酒さとは
酒さとはいわゆる赤ら顔の多くを占める一般的な疾患です。
いくつかの病型がありますが日本で見られる典型的な症状は頬部のびまん性の発赤とそれに混じった毛細血管の拡張です。
かゆみはすくなく刺激感やほてりを訴えることが多いです。
30-60代の女性に多く、にきびや脂漏性皮膚炎などとよく間違われることが多く、治療がうまくいかずに悩んでいる患者さんをよく見かけます。
湿疹と誤診されている患者さんが最も多いと思います。
そして湿疹と間違われた場合にステロイドが長期処方され難治化した患者さんは非常に多いです。ステロイドは一時的に酒さをきれいにします。しかし長期にわたって外用することで酒さは悪化し、しかも難治化してしまいます。
ややこしいことに酒さにステロイドを必要とする他の疾患が合併することも多く治療には細やかな調整が必要となります。
現在世界的に酒さに根本治療はないと言われています。しかしスキンケアと適切な薬物使用で良い状態を保てることが多く欧米ではそのような治療が以前より行われていました。
しかし日本にはその適切な薬剤がない状態が長く続いていました。2022年5月26日、世界的に使用されているメトロニダゾール外用薬(ロゼックス)が酒さに保険適応となりやっと日本でも酒さ治療がしやすくなりました。
その副次的な効果として酒さという病気そのものに脚光が浴びる結果となったことを感じています。2024年の日本皮膚科学会総会では以前はまったくなかった酒さの講演が多くなされました。
治療が難しいのは確かなのですが海外では血管レーザーによる治療も多く行われています。当院で行われている美肌レーザー(ジェネシス)がこれに当たります。混合診療禁止の日本では「酒さの治療」という同じ目的で保険診療と組み合わせてレーザー治療をすることはできませんが、保険診療は酒さ治療、レーザーは美肌治療と言う目的で行うことは可能です。
当院でもジェネシスを受けられる患者さんの酒さが改善しているのを感じています。保険診療に限界を感じた患者さんはご相談ください。
また当院では酒さに対してアゼライン酸の処方も行っています(自費診療となります)。